House IK
住宅 型と膨らみ
愛知県刈谷市
木造住宅
建築面積:102.40㎡
延床面積:132.49㎡
施工 :平田建築
木造住宅
建築面積:102.40㎡
延床面積:132.49㎡
施工 :平田建築
本計画は、約40年前に建設された鉄骨造の型式認定住宅を対象としたリノベーションである。
もともと単世帯住宅として計画された建物に、親・子・孫の三世代が同居していたが、孫世代の成長に伴い居住面積の不足が顕在化した。これを機に、複数のキッチンを備えた二世帯住宅への転用と、同時に断熱性能の向上が求められた。型式認定住宅は、その制度的特性から、壁や床を自由に撤去・再構成することが極めて困難である。スクラップ・アンド・ビルドによって要望に応えることは容易であるが、限られた予算と型式認定の枠組みの中で柔軟な改修手法を確立できれば、全国に膨大に存在する同様の住宅ストックを次世代へ継承するための有効なモデルとなり得る。本計画は、その可能性を検証する試みである。
改修にあたっては、比較的余裕のあった既存建屋の内部に、新たな断熱ラインを構造体の内側に挿入することで、型式認定を維持したまま性能の更新を図った。この際、断熱ラインを既存の天井面および外壁面からわずかにずらして設定することで、既存外壁と新設断熱層との間にバッファーゾーンを形成すると同時に、意図的に「ずれた開口」を生み出している。もともと内部と外部は、一枚の外壁と開口によって明確かつ強固に分断されていたが、本操作によって外壁内部はふくらみを持った中間領域へと変質し、内部と外部は緩やかに隔てられる関係へと再編される。新たに断熱ラインに設けた開口越しには、かつてのインテリアや、ずれた既存開口の向こうに見え隠れする周辺環境が、あたかも時間層の異なる風景が並列して存在するかのように重なり合う。
このリノベーションは、単なる性能更新にとどまらず、制度的制約の内側から空間構成そのものを再編することで、既存ストックの新たな可能性を提示する試みである。
もともと単世帯住宅として計画された建物に、親・子・孫の三世代が同居していたが、孫世代の成長に伴い居住面積の不足が顕在化した。これを機に、複数のキッチンを備えた二世帯住宅への転用と、同時に断熱性能の向上が求められた。型式認定住宅は、その制度的特性から、壁や床を自由に撤去・再構成することが極めて困難である。スクラップ・アンド・ビルドによって要望に応えることは容易であるが、限られた予算と型式認定の枠組みの中で柔軟な改修手法を確立できれば、全国に膨大に存在する同様の住宅ストックを次世代へ継承するための有効なモデルとなり得る。本計画は、その可能性を検証する試みである。
改修にあたっては、比較的余裕のあった既存建屋の内部に、新たな断熱ラインを構造体の内側に挿入することで、型式認定を維持したまま性能の更新を図った。この際、断熱ラインを既存の天井面および外壁面からわずかにずらして設定することで、既存外壁と新設断熱層との間にバッファーゾーンを形成すると同時に、意図的に「ずれた開口」を生み出している。もともと内部と外部は、一枚の外壁と開口によって明確かつ強固に分断されていたが、本操作によって外壁内部はふくらみを持った中間領域へと変質し、内部と外部は緩やかに隔てられる関係へと再編される。新たに断熱ラインに設けた開口越しには、かつてのインテリアや、ずれた既存開口の向こうに見え隠れする周辺環境が、あたかも時間層の異なる風景が並列して存在するかのように重なり合う。
このリノベーションは、単なる性能更新にとどまらず、制度的制約の内側から空間構成そのものを再編することで、既存ストックの新たな可能性を提示する試みである。