HC3

HC3

小児施設 Harare Child Care Center

進行中
ジンバブエ共和国 ハラレ
レンガ組積造小児施設
敷地面積 : 599.20㎡
建築面積 : 300.24㎡
延床面積 : 297.24㎡
- 施主 -

施主は、ジンバブエにて現地語(ショナ語)を教える語学講師であり、過去に身内をエイズで亡くした経験を持つ。そのため、彼女は両親をエイズなどで亡くした孤児を助けたいという強い想いを持っていた。しかし、敷地はあるが、建屋の資金までは工面できない状況で、現地の設計事務所に依頼できず、我々に相談が持ちかけられた。


- 背景 -

ジンバブエでは、孤児を親族が引き取ることが法規で定められているため、子ども達は寝る場所はあるが、食事を与えられない状況が多く存在する。ジンバブエには食事を提供する施設がまだまだ少なく、子どもたちが食事を求めて毎日何十kmも歩き続けなければならず、その道中での悲惨な事故も後を経たない。


- 建築プロセス -

この施設は子ども達に食事を与え、安心できる場を提供することを目的としている。地域住民や現地の建築学科の生徒で、建築に使用するレンガから一緒に作成し、それを組み上げるというプロセスをふむことで、人のつながりを生み、コスト削減だけでなく、地域の治安改善や使用者の所有意識を高める。そのため、誰もが建設に参加できるプランや現地の構法を採用した。これは、将来のメンテナンスも容易にする。さらに、縮尺模型ではあるが、実際に約5万個のレンガを積み上げるというプロセスを経験し、ひとつひとつ手順を確かめながら、現地の住民が問題なく施工できるかどうか確認した。また、この模型をもとにジンバブエの学生とともに1/1の部分モックアップを作成することで、空間と工法の確認を行った。


- 持続性 -

最終的にこのプロジェクトやプロセスをまとめた本(資料)を製作し、現地に残すことで、自ら企画し、自ら資金を集め、自ら設計し、自ら施工するノウハウを残せると考えている。そして、それが今後ジンバブエにおいて、建築家のいない状態でのケアセンターの増設に有効である。この建築はプロトタイプにすぎない。彼らの手でケアセンターが複数建設されて、はじめてこの建築が意味を持ち始める。我々は、「建築」を通して、途上国の状況を変える仕組みをつくりたいと考えている。